安部・船木研究室

大気突入技術

惑星探査機、宇宙往還機や宇宙からの回収カプセルなどの宇宙輸送機において、
大気突入時の空力加熱に対する熱防御システムの開発は重要な技術的な課題です。
本研究室では、従来からの熱防御法に加え、展開型柔軟構造物(シェル)を利用した熱防御や、 放電や電磁力を利用した熱防御法など、新しい空力加熱防御法の確立を目指した研究開発を進めています。


<電磁力を利用した空力加熱防御法>

大気突入時の空力加熱は、宇宙輸送機の開発において非常に大きな問題です。
従来のシステムは、この空力加熱からいかに耐えるかという観点で開発が進めらていました。当研究室では、その発想を転換して、空力加熱を低減するシステムを開発しようしています。
その一つの方法が、電磁力を利用するものです。再突入時に機体まわりの流れは高温になり電離するためプラズマ流となります。 これは、プラズマ流に磁場を印加することで、流れを制御し空力加熱を低減するもので、近年、超伝導磁石などの実用化により、 強磁場が比較的容易に手に入るようになったため、注目されているものです。

当研究室では、衝撃波管やアーク風洞を使った実験的研究、数値シュミレーションによる予測、システムの検討まで 電磁力を利用した熱防御法に関して幅広く研究を行っています。


磁場による衝撃層拡大効果の可視化写真(左)とアーク加熱風洞による電磁シールド効果の検証実験の様子(右)



<柔軟構造大気突入システム>

空力加熱を避ける方法として、柔軟構造エアロシェルによる低弾道係数大気突入システムがあります。
これは、大気突入機に軽量かつ大型のエアロシェルをとりつけることにより、空気密度の薄い高高度での減速を
可能にし、空力加熱を低減するもので、近年の膜材料の発展により、実用化も近いと注目されているシステムです。

当研究室では、低速風洞〜極超音速風洞までの各種風洞を利用した実験的研究、数値シュミレーションによる解析に加えて、 大気球を利用したフライト試験も実施しています。

 →柔軟構造大気突入システム開発プロジェクトの詳細はこちら
 →共同研究者である東京大学鈴木宏研究室
 →気球実験を行っているJAXA大気球実験室

 
柔軟構造大気突入機のイメージ(左)と、2004年に行われた気球からのフライト試験の様子(右)



<大気突入時の熱気体力学に関する基礎研究>

大気突入時の熱防御システムを構築するにあたって、大気突入時の熱空力環境を理解することはとても重要です。
例えば、JAXA宇宙科学研究本部が進める小惑星探査ミッションのMUSES-C「はやぶさ」は、 小惑星にタッチダウンした後、小惑星表面の岩石を採取して地球に持ち帰る、壮大なミッションです。
惑星間を航行後、地球に再突入する「はやぶさ」は、12km/sを超える超高速で地球に戻ってきます。
本研究室では、「はやぶさ」が地球帰還時に放出する再突入カプセルの熱空力環境を精力的に研究して、
「はやぶさ」再突入カプセルの開発に貢献してきました。(※「はやぶさ」は2010年に地球に帰還する予定です。)

また、将来のさらなるサンプルリターンミッションや惑星突入ミッションにむけて、 大気突入時の高速かつ高エンタルピー気流中の熱気体環境に関して、さらに理解を進めるため 様々実験及び数値シミュレーションによって基礎的な研究も進めています。

 

「はやぶさ」の帰還時のイメージ